ポリシーについての解説・補足

京都大学研究データ管理・公開ポリシー本文に沿って、考え方や参照情報など詳しい解説を加えています

京都大学研究データ管理・公開ポリシー(本文)

 京都大学は、「研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行う」とともに、「世界に開かれた大学として、自由と調和に基づく知を社会に伝える」ことを基本理念として掲げている。 研究活動の過程で生み出される研究データを適切に管理・保存し、また公開により利活用を促進することは、研究データの価値を守り高めることであり、それによりこれらの理念を具現化し、学術研究の広範囲にわたる発展と地球社会の調和ある共存に大きく貢献することができる。
 そこで、京都大学で行われる研究が多様であることを踏まえ、研究データの管理・保存・公開に関して、それぞれの研究分野における法的および倫理的要件に従うことを認め、それらを最大限尊重した上で、学術研究の発展と京都大学における将来の研究を守るため、指針として京都大学研究データ管理・公開ポリシーとして以下の原則を定める

  1. 本ポリシーにおける「研究データ」とは、本学の研究活動の過程で研究者によって収集または生成された情報を指し、デジタル・非デジタルを問わない。
  2. 京都大学において、研究者は研究データを適切に管理・保存すること、すなわち研究データ管理は、優れた研究を行う上で必要不可欠であると認識する。
  3. 京都大学は、原則として、研究データを収集または生成した研究者が、研究データ管理を行う権利と責務を有していることを認め、研究者は、研究データの価値を守るため、それぞれの研究分野における法的および倫理的要件に従って研究データ管理を実施する。
  4. 京都大学は、研究データが、論文などと同様に、今後の学術や社会の発展に貢献する知の基盤の一つであるとの認識に基づき、特段の定めがある場合を除き、可能な限り社会に公開し、その利活用を促進する。
  5. 京都大学は、研究データ管理および公開を支援する環境を整える責務がある

なお、社会や学術状況の変化に応じて、適宜本ポリシーの見直しを行うものとする

解説・補足

①一般的に「データ」は、所有権が認められず、そのままでは知的財産権によって保護されないこと、そして「データ」の保護は、原則として契約によって行われることを、研究者は理解する必要がある。 よく「データオーナーシップ」という言葉が使われ、「データ」にも、所有権があるように思われることがあるが、その権利は限定されている(詳しくはを参照)ことに注意を要する。
 その上で、京都大学(以下、「本学」)および本学の研究者が、研究に関わる「データ」(以下、「研究データ」、詳しい定義はを参照)を適切に管理・保存し、公開(詳しい定義はを参照)を行うことは、研究データの価値を認め、主体的に研究データを保護することであり、研究者自身が将来に渡りより良い研究を行うために、また本学における将来の研究を守るために重要である。
 「巨人の肩に立つ(Stand on the shoulders of giants)」の言葉に代表されるように、学術分野が、先人の様々な知の基盤の上に成立することは言うまでもない。 そのため、知の基盤として、研究データを公開することは「学術研究の発展と共に地球社会の調和ある共存」を具現化することにつながる。 却って、研究データが重要視され、詳細化が進むことは、適切なデータの入手、利用、保管、公開の実施が求められることでもある。 研究データ管理と公開は、高い倫理性を備えた研究者の自発的な行為であり、京都大学における研究者の研究活動を将来にわたり、保証するものでもある。

参考:
データは無体物であり、民法上、所有権や占有権、用益物権、担保物権の対象とはならないため、所有権や占有権の概念に基づいてデータに係る権利の有無を定めることはできない(民法206 条、同法85 条参照)。
そして、知的財産権として保護される場合や、不正競争防止法上の営業秘密として法的に保護される場合についても限定的であることから、データの保護は原則として利害関係者間の契約を通じて図られることになる。
『AI・データの利用に関する契約ガイドライン1.1版 ―データ編―』, 経済産業省、2019/12/09,  p.14(https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191209001/20191209001.html

②本学が総合大学であり、研究分野および研究者が多様であることから、研究データの管理・保存・公開について、一律的に扱うのではなく、国や国際的な研究倫理指針や研究開始時における契約等、特段の定めがある場合は、その定めに従うことが必要である。 その上で、本ポリシーは、このような特段の定めがない、あるいは不十分な状況の研究分野がまだまだ多く存在することを踏まえ、本学で研究を行う者の指針となることを目的としている。

③本学が研究データポリシーを持つことは、本学における将来の研究を守るために必要である。 また、本学の研究者を守るためにも必要である。
 今日、研究データは知の基盤として広く認められつつあり、その価値を守ることは研究者および機関にとっても重要となっている。 例えば、研究データポリシーを有する海外の研究機関で在学研究を行い、帰国時に研究データを持ち帰ろうとしたが、研究機関のポリシーに従い、所属機関に研究データポリシーがないことを理由に、研究データの移動を拒否された事例がある。研究データの取り扱いの交渉の前提として、研究データポリシーを持つことが機関に求められている事例である。 さらに、研究データに関してもビジネス化の大きな流れが世界的に始まっており、それらに対抗する必要性も高まっている。
 以上のような社会状況の変化を踏まえ、適切な研究データ管理および公開を行うことは、今後の本学における研究の将来を守るために必要不可欠であるだけではなく、社会における学術研究の発展にも極めて重要となっている。
 なお、本ポリシーは、研究データについて、本学における基本的な取り扱いに関する方針を示すものである。 本学の研究分野および研究者が多様であり、研究分野や部局等において状況が異なることを踏まえ、実施方針や規程等、実行性を高めるために必要な具体的な取り組みは、部局等で実施することが望ましい。 今後、実施方針やガイドラインのひな形の作成等、実行性を高める取り組みについては、大学として支援を行っていく。

④「研究データ」には、研究素材として収集または生成した一次データだけでなく、それらを分析・処理して作成された加工データや解析データ等も含む。またそれらデータを説明する資料も含む。形態としては、数値、画像、テキストなど、あらゆる形態が含まれる。
 例えば、以下のようなものを含む。

  • 測定データ
  • 写真
  • 音声、映像などの視聴覚情報
  • 実験ノートおよびフィールドノート
  • 質問票
  • 臨床データ


 「収集した情報」の中には、著作権に代表される知的財産権を有するもの(論文、書物、作品など)や不正競争防止法で保護されているもの(治験データなど)が含まれる場合があるが、それらは各法により保護されており、それらが持つ権利は本ポリシーに優先して当然守られなければならない。

  なお、研究データは、研究者の不断の努力に加えて、直接的あるいは間接的に研究協力者のかけがえのない協力がなければ産み出され得ない。 当然であるが、研究協力者の個人情報と意志を最大限尊重して取り扱うこと、また研究協力者の協力を適切に評価することが、本学で研究する者全てに求められていることを自覚する必要がある。
 あえてここで研究協力者について明記するのは、本学における研究活動において、研究協力者が存在しない研究は、ほぼ存在しないからである。 特に、医学、心理学、社会科学等の研究における、人を対象とする実験や調査の対象となる人だけではなく、人文学、歴史学、考古学等の研究において資料等の提供、あるいは調査のための協力者など、多くの研究分野において、直接的あるいは間接的に研究協力者が多岐に渡る。
 また、当然であるが、既存の研究成果やデータを用いない研究はあり得ないことから、これらの作成者、提供者、さらにはデータの整理や準備を行う者、日々の管理といった実務に携わる者も研究協力者と捉えることもできる。 それらの活動を適切に評価することも重要である。

⑤「研究者」とは、本学の役員、教職員、学生等で、本学において研究活動を行う全ての者。 なお、ここでいう「教職員」とは、本学が定める就業規則に基づき雇用されている者をいう。 また、「学生等」とは、学部学生及び大学院学生、外国学生、委託生、科目等履修生、聴講生、特別聴講学生、特別研究学生、特別交流学生等(京都大学通則(昭和28年達示第3号)第5章に定めるもの)、研究生、研修員等(京都大学研修規程(昭和24年達示第3号)に定めるもの)その他本学に在学し、若しくは在籍し、又は受入れられて、修学し、又は研究に従事する者をいう。

⑥本ポリシーにおける「研究データ管理」とは、『研究活動において、

  1. 研究データ管理計画を策定し、その計画に従い、
  2. 研究中は、収集・生成された研究データを適切に保管・利用し、
  3. 研究終了時には、研究成果をとりまとめ、全ての研究データから「保存する研究データ(終了後も保存し管理する研究データ、管理データ)」と「破棄する研究データ(終了後、適切な方法で処分する研究データ)」と「非管理データ(管理対象外の研究データ)」に分類し、
  4. 「保存する研究データ」については、定めた保存期間は適切に保存し、保存期間終了後には適切な処理を行う。
  5. また、「保存する研究データ」については、「公開」すべきか「非公開」かを決定し、公開する研究データについては、公開の条件およびライセンス(契約条件)を定め、公開の手続きを行う、

といった研究データに関わる一連の活動全般』と定義する。

参考:JPCOAR教材「オープンサイエンス時代の研究データ管理」による定義
「研究データ管理」とは、一般的にある研究プロジェクトにおいて使用された、あるいは生成された情報を、どのように組織化、構造化、保管、管理していくかを指す。 研究データ管理には、次のようなことが含まれる。

  • どのようにデータを取り扱っていくかの計画(研究データ管理計画)策定
  • 研究プロジェクトが行われている間の、日々の情報の取り扱い方
  • 長期的にデータをどのように取り扱うか(研究プロジェクトが終わった後はそのデータをどうするか)

http://researchdata.ox.ac.uk/home/introduction-to-rdm/ より

Research data management is a general term covering how you organize, structure, store, and care for the information used or generated during a research project. It includes:

  • Planning how your data will be looked after – many funders now require data management plans as part of applications
  • How you deal with information on a day-to-day basis over the lifetime of a project
  • What happens to data in the longer term – what you do with it after the project concludes

⑦本ポリシーでいう「研究データ管理を行う権利」とは、その研究データを利用する(=新しいデータを生成することが可能となる)権限(以下、研究データ利用権限と称する)および研究データの保存・利用条件をコントロールできる権限(以下、研究データ管理権限と称する)を有するという意味とし、権利に伴って、それらを行う責務もまた発生するものとする。
 具体的には、研究データ管理の定義に従えば、研究活動において、次のような活動を行 うことが想定される。

  1. に対応して、研究開始時に、研究データ管理の具体的な方法等を記載した研究データ管理計画を作成する。なお、研究終了後の研究データ管理権限の移譲等についても、研究データ管理計画に記載することが望ましい。当然であるが、研究活動の状況に応じて適宜修正を行う。
  2. に対応して、研究データの信頼性、完全性、トレーサビリティなど、研究データの品質確保に努め、安全に保管した上で、研究に利用する。
  3. に対応して、研究終了後に「保存する研究データ」の範囲及び保存期間を決定する必要がある。当然、研究データ自体が研究成果の場合もあるので、その場合の取り扱いは研究成果の場合に準ずることとなる。また、「破棄する研究データ」については適切に破棄する必要がある。特に、個人情報保護・機密保持等の観点から公開に制限がある場合や、公開によって第三者の権利を侵害する恐れのある研究データを「非管理データ」とすることは適切ではない。
  4. に対応して、「保存する研究データ」は、研究データの信頼性、完全性、トレーサビリティなど、研究データの品質確保に努めた上で、発見可能かつ必要に応じて再利用が可能な形で保存する。また、必要に応じて研究データのメンテナンス(ケア)を行うこととなる。
  5. に対応して、公開する研究データについては、後述する公開の区別等(を参照)に基づいて、必要に応じて研究データ管理権限等の移譲等を含め、適切な手続きを行う。

 なお、研究データ管理権限は個人または組織に移譲することができる。ただし、本学の将来の研究において制約を受けるような移譲は行うべきではない。特に、契約等によって研究データの取扱いを決める場合には、権限の取り扱いに注意すること。
 また、研究プロジェクトが終了した場合もしくは自身が退職等により本学で研究活動を行わなくなった場合には、関係者と協議の上、研究データ管理権限の移譲または保持について決定し、適切に実施することが必要である。

⑧本学では様々な研究者が多様な研究を行っているため、研究データの管理について、一律的に扱うのではなく、国や国際的な研究倫理指針や研究開始時における契約、本学における規程等、特段の定めがある場合は、その定めに従うことが必要である。 例えば、「京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程第7条第2項の研究データの保存、開示等について定める件」( https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchrulesuishindocumentsresearch_data150730.pdf)では、発表された研究成果の根拠となる研究資料等の保存期間は原則10年と定められている。 したがって、少なくとも根拠となる研究データの保存期間は、特に理由がない限り10年を下回る設定は出来ない。 また現在、本学で検討が進められている医療分野における治験データの取り扱い規程では、治験データの帰属は、研究者でなく大学にあることが定められる予定である。これらの規程は特段の定めとして扱われるものである。
 なお、外部資金等による研究プロジェクトの場合、研究開始時における契約で研究データの権利等の取扱いも定められることが多い。 その場合、本学の将来の研究に制約を受けるような契約を結ぶことは望ましくない。 研究者は、そのことを自覚し、法務または契約関連等について必要に応じた支援を仰ぎ、また本学は適切な支援を行う必要がある。

⑨研究データが、今後の学術や社会の発展に貢献する知の基盤の一つとされていることについては、国際的には、「G8科学大臣及びアカデミー会長会合(2013)」(https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20130620/ko1-1.pdf)、 「研究データの権利に関するソルボンヌ宣言(2020)」(https://www.leru.org/files/Sorbonne-declaration.pdf)、 国内においては、「第5期科学技術基本計画(2015)」(https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdf)、 「統合イノベーション戦略2019(2019)」(https://www8.cao.go.jp/cstp/togo2019_honbun.pdf)、 「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ報告書(2019)」(https://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kokusaiopen/houkokusho.pdf)等で言及されている。

参考:「研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループ報告書(2019)p.4 (一部抜粋)」。

  • 研究データは、我が国と世界にとって重要な知的財産であり、その利活用を進めることは、さまざまな知の発展と結合による優れた研究成果やイノベーションの創出につながるものである。
  • 世界的なオープンサイエンスの潮流を尊重しつつ、我が国の自律性を確保し、オープン・アンド・クローズ戦略を考慮する必要がある。

(中略)

  • 研究データの管理及び利活用にあたっては、公開・非公開に関わらず、関係諸法令に従うとともに、データの取り扱いに関する条約等の国際約束等や、データ管理の原則であるFAIR原則等の国際的な規則や慣行等との整合性に十分留意する。
  • 論文や特許等の直接的な研究成果のみならず、研究の過程で生まれた一定の体系性を有するデータの管理及び利活用を行うことは、特に基礎的な研究の価値を高める上で有意義なことである。また、このような取組は、必ずしも直接的な成果とならなかった研究データについても一定の価値を認めるものであるため、研究者に対して、失敗を許容し、様々な挑戦を促すことにつながるものである。

⑩本ポリシーにおける「公開」とは、保存する研究データを、利用者を限定せず利用を許可する「一般公開(Publish)」と、限定された利用者にのみ利用を許可する「共有(Share)」とを含む概念とする。「公開」しない場合は、「非公開」となる。
 研究者は、それぞれの研究分野における法的および倫理的要件、契約、規程等に基づく特段の定めがない限り、原則として可能な限りFAIR原則に則って公開することが望ましい。なお、公開の際には、適切なライセンス情報を付し、利用者にはその遵守を求める必要がある。
 研究プロジェクト開始時の契約等のような特段の定めがない場合は、研究データの公開方法、公開範囲、条件、ライセンス等については、各分野における研究者コミュニティでの標準等を鑑みて研究者自身が決定することができる。ただし、個人情報保護・機密保持等の観点から公開に制限がある場合や、公開によって第三者の権利を侵害する恐れのある場合は、非公開(公開対象外)とする必要がある。
 公開にあたって、非デジタル形式の研究データは、公開のために可能な限りデジタル化(研究データの現物そのものをデジタル化する方法と、現物の所在等を示すメタデータをデジタル化する方法のいずれでも差し支えない)することを推奨する。
 なお、デジタル形式の研究データの公開に際しては、信頼できるデータリポジトリ等を利用することを推奨するが、各分野における研究者コミュニティでの標準等を鑑みて適切な方法を用いて構わない。ただし、いかなる方法であっても、公開する場合には、本学における将来の研究を制約しないように注意すること。

参考:公開・共有の区分について
 文科省・第8期学術情報委員会(第8回)資料(→は研究データ基盤整備と国際展開ワーキング・グループによる区分)によれば、 保存する研究データ(=管理している研究データ、管理データ)の公開については、以下の4つの区分を行っており、記載以外のデータ区分として、非管理データがある

  • 「一般公開(オープン)」:アクセス制限なく誰でも利用できるデータ→公開データ
  • 「制限公開(セミオープン)」:利用目的・利用方法等を明らかにした上で、研究データへのアクセス申請を承認された研究者が利用することが可能な研究データ→共有:外部関係者共有データ
  • 「制限共有(セミクローズ)」:課題採択時にデータマネジメントプランに記載された研究者及びデータアクセス申請を承認された研究者の間で共有できる非公開データ→共有:内部関係者共有データ
  • 「非公開(クローズ)」→その他データ本ポリシーでは、外部資金等による研究

 本ポリシーでは、外部資金等による研究プロジェクトのみを対象としている訳ではないことから「制限公開」と「制限共有」の区別、および「制限共有」と「非公開」を明確に区別することは困難であると考える。そこで、「制限公開」と「制限共有」を区別せず「共有(Share)」としてまとめ、保存する研究データ(管理データ)については、「一般公開」、「共有」、「非公開」の3つの区分を考え、「一般公開」と「共有」を合わせた概念を「公開」とした。また、保存する研究データ以外を非管理データとした。

参考:FAIR原則(和訳)
To be Findable:(見つけられるために)
 F1. (メタ)データが、グローバルに一意で永続的な識別子(ID)を有すること。
 F2. データがメタデータによって十分に記述されていること。
 F3. (メタ)データが検索可能なリソースとして、登録もしくはインデックス化されていること。
 F4. メタデータが、データの識別子(ID)を明記していること。

To be Accessible:(アクセスできるために)
 A1. 標準化された通信プロトコルを使って、(メタ)データを識別子(ID)により入手できること。
 A1.1 そのプロトコルは公開されており、無料で、実装に制限が無いこと。
 A1.2 そのプロトコルは必要な場合は、認証や権限付与の方法を提供できること。
 A2. データが利用不可能となったとしても、メタデータにはアクセスできること。

To be Interoperable:(相互運用できるために)
 I1. (メタ)データの知識表現のため、形式が定まっていて、到達可能であり、共有されていて、広く適用可能な記述言語を使うこと。
 I2. (メタ)データがFAIR原則に従う語彙を使っていること。
 I3. (メタ)データは、他の(メタ)データへの特定可能な参照情報を含んでいること。

To be Re-usable:(再利用できるために)
 R1. メタ(データ)が、正確な関連属性を豊富に持つこと。
 R1.1 (メタ)データが、明確でアクセス可能なデータ利用ライセンスと共に公開されていること。
 R1.2 (メタ)データが、その来歴と繋がっていること。
 R1.3 (メタ)データが、分野ごとのコミュニティの標準を満たすこと。

cc-by Licensed under a Creative Commons 表示4.0国際 license ©2019 国立研究開発法人科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター
 出典:FORCE11: THE FAIR DATA PRINCIPLES (2016).
    https://www.force11.org/group/fairgroup/fairprinciples,
    NBDC研究チーム(訳), "FAIR原則(「THE FAIR DATA PRINCIPLES」和訳)" (2019).
    https://doi.org/10.18908/a.2019112601

⑪研究者が適切な研究データ管理および公開を実現できるよう、具体的には、以下のような支援を行う。

  1. 適切に研究データ管理を行えるデジタルプラットフォームを提供する。
  2. 研究データを公開することのできる機関リポジトリ等の公開プラットフォームを提供する。
  3. 研究データ管理・公開に関する周知、法務または契約関連等を含む各種アドバイス、教育研修等、研究者に必要な支援を提供する。
  4. 本ポリシーを構成員に正しく実施させる。そのための活動を実施・支援する。
  5. 部局等において、本ポリシーの主旨を尊重した上で、研究データ管理・公開に関して独自の実施方針や規程等を策定することを支援する。
  6. 社会状況や学術状況の変化あるいは法および倫理的要件の変化に応じて、適宜本ポリシーの見直しを行う。

⑫データ管理に関しては、近年例えば「G8 科学大臣及びアカデミー会長会合(2013)」、「研究データの権利に関するソルボンヌ宣言(2020)」といった研究データのオープン化に関する国際的動向、また我が国においても「第5 期科学技術基本計画(2015)」、「統合イノベーション戦略2019(2019)」等における「オープン・アンド・クローズ戦略」への考慮などが謳われる等、データ管理に関する社会や学術状況が大きく変わってきている。 今後も、データ管理に関わる社会や学術状況の変化が生じることが予想される。 そこで、これら状況の変化を的確に捉え、個々の研究分野における法的および倫理的要件を尊重した上で、本ポリシーについても常に見直しが必要とされる。

(令和2 年3 月19 日 研究者情報整備委員会承認)
(令和2 年10 月14 日 修正)